句集『稲津』(84)金亀子

【句集『稲津』(84)】

金亀子ぶつかることを止めぬなり


蛍光灯に飛んで来たコガネムシは、電灯にぶつかっていく音が鳴り響く。光に興奮しているのだろうか。コガネムシは体当たりを止めようとしない。


夏場所や廻しを叩くなほ叩く


テレビでは夏場所の相撲中継。土俵に立つ巨漢力士は立ち合いに向けて気合を高めていく。塩を撒き、廻しを手でパンと叩く。もう一つ叩き、自分を最高の状態へ持っていく。