句集『稲津』(113)金木犀

【句集『稲津』(113)】

出口なし完全包囲虫の声


フランスの小説家サルトルの作品に『出口なし』というのがあった。虫の音は幾重にも取り囲み、抜け出す所はない。完全に包囲されている。


宅急便金木犀の香を入れぬ


宅急便の受渡にドアを開けると金木犀の香りが家の中に入ってきたという句意。宅急便の荷を送る時、家の金木犀の香りも一緒に詰めたとの解釈ももらった。