句集『稲津』(114)十五夜

【句集『稲津』(114)】

十五夜の静かに光る屋根瓦


十五夜の月が見える。月光は眠りについた人里をあまねく照らす。屋根瓦が月の光を反射して光っている。静かな夜がしんしんと更けてゆく。


飼い犬の顎に白髪や日向ぼこ


飼っていたのはこげ茶のトイプードル。14年間を共に暮らした。年をとり、顎の毛にも白髪が混じるようになった。歳月は人にも犬にも刻まれる。