句集『稲津』(142)蜻蛉

【句集『稲津』(142)】

日は落ちぬ十薬の葉の深緑


日が沈み夜がやって来ようとしている。まだ完全に暗くはなっていないが、まもなく闇があたりを覆うだろう。十薬の葉の色が濃く感じる。


蜻蛉の腕に触れてはまた離れ


蜻蛉が、まつわりつくように飛んでいる。腕に触れたかと思うとまた離れ、遊んでいるのだろうか。蜻蛉が自由に飛び交う空間に、私も心を遊ばせよう。