句集『稲津』(35)菊満開

【句集『稲津』(35)】

虫の音の突然止まる息とめる


かましいほどに鳴いていた虫の声が突然パタリと止まる。突然の中断に、虫の声を聞いていた自分の呼吸もリズムを崩し、息を止めてしまう。何か起きたのだろうか、詳細は判らない。


菊満開今日一日のつつがなし


満開の菊の花を見ると心弾みうれしくなる。今日一日が何故かいい日になるような予感がする。『俳句』2014年5月号に伊藤敬子選者で秀逸入選。