句集『稲津』(67)薬喰

【句集『稲津』(67)】

囲炉裏火の熱きを囲み薬喰


毎年、囲炉裏のある料理屋に集まり猪鍋を食べる。囲炉裏の炭火が赤々と燃えて、自在鍵に吊るされた鍋からよそって食べる。美味いものを仲間と食べる幸福。


冬波の背丈をこえて上がりけり


福井県の三国に蟹を食べに行った時、日本海は荒れていて、波は人の背丈以上の高さがあった。人を呑み込むほどの波には、脅威の感情が湧く。