句集『稲津』(109)かき氷

【句集『稲津』(109)】

かき氷美しきもの崩しゆく


ガラス器に山のように盛られたかき氷に頂上からかけられたシロップが染みて白い氷の塔を染めあげる。美しいオブジェを突き崩し味わう快楽の世界を堪能する。


たちまたに入道雲は空を埋め


夏の空に現れた入道雲は、どんどん巨大化して空を埋めてゆく。広大な空を埋め尽くそうと果敢に挑む。野望は満たされただろうか。空は限りなく広い。