句集『稲津』(115)桝酒

【句集『稲津』(115)】

桝酒に表面張力新走り


桝酒を注文する。なみなみと新酒が桝に注がれて、こぼれるかこぼれないかのぎりぎりを表面張力で持ちこたえている。さあ、いただきましょう、飲みましょう。


玉手箱あけるがごとく味噌煮込み


土鍋で煮込んだ味噌煮込みうどんが運ばれてくる。鍋のふたを開けるときは、玉手箱を開けるような期待感がある。ふたを開けると湯気と味噌の香りが広がる。