岸本尚毅『雲は友』

岸本尚毅の第6句集『雲は友』を読了。虚子に倣って「俳句を鳴らす」とインタビューで岸本尚毅は述べていたが、淡々と詠まれた俳句が、じわじわと読み手に広がっていく句群である。私としては、俳句は詠み手の吐く息みたいなものと思っているので、年齢が近い岸本尚毅の還暦を過ぎて詠む俳句に心ひかれる。タイトル通り雲の句も多いが、墓を題材にした句も多い。岸本尚毅はお墓好きなのかな。

 

風は歌雲は友なる墓洗ふ

 

句集のタイトルとなった句。虚子の句が好きな私は、虚子の良き紹介者である岸本尚毅の句もずっと追いかけて読んでいる。

 

すっぽりと世界を入れて冬霞